マンションを購入する上で正しく理解しておきたい床の構造。マンションの床の構造は「二重床」と「直床」に分けられますが、リノベーションで間取り変更をするなら二重床のマンションがベター。二重床の概要や直床との違い、二重床ならではのメリット・デメリットについて紹介していきます。
目 次
マンションの二重床とは?
二重床は、住宅品質確保促進法(品確法)が施行された2000年から採用されるようになった床の構造の一種です。
「直床」がコンクリートスラブの上にパーティクルボードやフローリングを直接施工するのに対し、「二重床」はコンクリートスラブに防振ゴムと支持ボルトを設置し、その上に床材を設置します。その名の通り床が二重になっているのです。コンクリートスラブに防振ゴムと支持ボトルを設置するため、スラブと居室の床の間に空間が生まれます。
二重床のメリットは?直床との違い
いろいろな意味で、「直床よりも二重床の方がメリットが多い」とされています。二重床の主なメリットとしては、
- 遮音性
- メンテナンス性
- リノベーションのしやすさ
の、3点です。
1. 二重床は遮音性が高い
二重床はコンクリートスラブと部屋の床の間に空間が設けられている分、階下の部屋に音が伝わりにくいという特徴があります。騒音はご近所トラブルの種になりやすいので、遮音性の高さは大きなメリットだと言えるでしょう。
マンションは管理規約によって遮音性能が定められているため、直床であってもダイレクトに音が響くようなことはありません。しかしコンクリートスラブの上に直接仕上げを行っているという関係上、二重床ほど遮音性は高くありません。
遮音性では二重床に軍配が上がります。
2. 二重床はメンテンナンス性が高い
配管や配線に関するメンテナンスがしやすい点も、床下に空間が確保されている二重床ならではのメリットです。
建物は建設してからしばらく経つと配管や配線も劣化します。定期的にメンテナンスする必要があるわけですが、二重床は配管と配線がコンクリートスラブと床材の間を通っているので、交換や補修をしやすくなっています。
新しめの直床のマンションならメンテナンス性に配慮されている場合もありますが、古い直床マンションになると配管がコンクリートスラブに直接打ち込まれており、メンテナンス性は非常に低くなります。
3. 二重床はリノベーションのしやすい
二重床と直床では、「リノベーションのしやすさ」においても二重床の方に軍配が上がります。特に差が出やすいのが、水回りの移動を伴うリノベーションです。
二重床は床下にスペースが設けられているので、床の高さを変えずに水回りの設備を移動できます。床下のスペースの高さや、排気ダクトによっては移動範囲が制限されることもありますが、リノベーションがしやすいという点は変わりありません。
一方、直床は二重床のように床下にスペースが設けられているわけではないため、水回りの移動が制限されたり、移動したことで床に段差が生じてしまう可能性があります。プランの工夫次第では、床をフラットさをキープすることも可能ですが、二重床の方が比較的スムーズに水回りを移動しやすくなります。
変更したり水回りの位置を変えるなど大掛かりなリノベーションを検討している方にとっては非常に魅力的なメリットだと言えるでしょう。
二重床ならではのデメリット
遮音性に優れている二重床のマンションですが、音の種類によっては、直床よりも二重床の方が階下の部屋に伝わりやすくなってしまうことがあるため注意しなくてはいけません。二重床は、軽量衝撃音は吸収してくれますが、重量床衝撃音については吸収しづらい構造になっています。
重量床衝撃音とは、飛び跳ねたり重いものを落としたときに発生する、低く鈍い音です。
二重床は、スリッパで歩いたときの音や軽いものを落としたときに発生する軽量床衝撃音に強い一方で重量床衝撃には弱いという特徴があります。
これは、床下の空間にある滞留した空気によって衝撃音が広範囲に広がるためで、「太鼓現象」と呼ばれています。
ただ、最近は空気の逃げ道を作ることで重量床衝撃が響かないよう工夫されている二重床のマンションも増えてきているので、すべての二重床のマンションが重量床衝撃音に弱いというわけではありません。重量床衝撃が気になる方は、重量床衝撃への対策が施されてる物件を選ぶようにしましょう。
二重床のマンションをリノベーションした事例
こちらは、築4年の二重床のマンションを〈CRAFT〉でリノベーションした事例です。
元々西側の壁に配置されていたキッチンを東側の入り口に移動し、壁付けのキッチンからアイランドキッチンに。二重床の物件なので、問題なく配管のルートを確保することができました。
玄関ホールからリビング・ダイニングに目をやったときに見える海をバックにたたずむキッチンは圧巻です。この光景も、キッチンがこの位置にあるからこそ。
また、キッチンの場所を移動したことで、リビング・ダイニングへのアクセスはもちろん、ときどき食事をするという和室にもよりスムーズにアクセスできるようになっています。
直床のマンションをリノベーションした事例
こちらは、直床のマンションを〈CRAFT〉でリノベーションした事例です。
都心にある眺めのよい物件で、窓の外にはビルが立ち並ぶ、いかにも都会らしい風景が広がっていますが、キッチンが壁付けになっており、せっかくの風景を楽しむことができませんでした。
ただし、こちらは直床のマンションのため、水回りを大きく移動することができません。移動するにしても段差ができてしまいます。
そこで、キッチンを90度回転して配置するプランをご提案し、既存の排水をそのまま活かすことに。キッチンを窓に向けて配置したことでキッチンの心地よさが格段に向上し、景色を楽しみながら料理をしたり、お酒を楽しんだりできるようになっています。
直床のマンションであっても、プラン次第ではフラットな状態を維持したまま水回りを移動することも可能です。
〈まとめ〉二重床のマンションはリノベーションしやすい
リノベーション事例を交えながら二重床のマンションについてご紹介しました。
これからマンションを買う方で、リノベーションのしやすさやメンテナンス性を考慮するなら、二重床のマンションがおすすめです。もし気になるマンションが直床でも大丈夫。プランを工夫し、ご希望の間取りを実現できるように努めます。
リノベーションを前提とした物件探しは、ぜひ〈CRAFT ONE〉にご相談ください。物件探しから物件に合った最適なリノベーションまで、トータルでサポートします。
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