CASE #448憧れのヴィンテージマンション
小高い丘のヴィンテージマンション
「昔から古いものが好きだった」というIさん。車も家具もヴィンテージばかりを愛用していました。当初は都内のマンションを見て回ったものの、ピンとくる物件が見つからない。そんなときにタイミングよく、横浜のとある物件が売り出しにでます。かねてIさんが注目していたヴィンテージマンションでした。
駅からちょっと坂を上がった小高い丘の上。敷地内には木が生い茂り、おどろくほど静かです。低層の建物がすっきりと並び、今の時代では考えられないような贅沢なレイアウト。1970年代のゆったりとした空気感がただよっていました。多少は職場から遠くなるものの、Iさんが『ここで暮らしたい』と思ったのは無理もないほどのマンション。
ただし築年数が経っていたため、設備も内装もぼろぼろ。Iさんご自身は、「まったく不安がなかった。クラシックカーもヴィンテージ家具も、きちんと手を加えればキレイになるとわかっていたから」と笑います。持ち前の決断力で、すぐに買付けを入れました。
名作家具が溶け込むように
そうしてリノベーションのプランニングがスタート。Iさんがまずデザイナーに伝えたのは、「ミッドセンチュリーを現代風にしたい」という全体のイメージでした。
そこでスペースを大きく占めていたWICを移動し、長方形の大きなリビング・ダイニングを新設。さらに、玄関~廊下~リビング・ダイニングを一直線につなげ、抜けを感じられるように。ヴィンテージマンションによく見られる“窮屈な間取り”と“複雑な動線”を解消し、現代らしい開放感を与えています。玄関〜ダイニングにかけては、床・壁に石、天井に木といった普遍的な素材を使用。ハンス・J・ウェグナー、ジャン・プルーヴェ、チャールズ & レイ・イームズ、アルネ・ボッターといった名作家具が、趣ある空間にフィットしています。
「僕は美しいものを見ると、心地よさを感じます。だから今回のリノベーションでは、空間の美しさを優先しました」とIさん。完璧なまでに美しく、それでいてリラックスできる空間。ずっと昔からここで暮らしていたように、Iさん自身も溶け込んでいました。