100㎡以上のゆとりある広さ魅力のヴィンテージマンション。昔ながらの窮屈な間取りと複雑な動線は、現代のライフスタイルに合うように一新しています。お持ちのコレクションや名作家具が似合う、モダンで趣のある空間にリノベーションしました。
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神奈川県 横浜市
家族構成 : 夫婦
築年数 : 39年
リノベーション面積:127㎡
工期 : 3ヶ月
リノベーション費用 : 3200万円
築年数の古さは、気にならなかった
車も家具もヴィンテージをご愛用のIさん。物件探しの当初は都内の中古マンションを探していたものの、しっくりくる物件に出会わなかったそうです。そんな折、横浜の小高い丘にある物件が売りに出ます。Iさんがかねてより気になっていたヴィンテージマンションでした。
1970年代に建てられた建物のため、内装や設備の経年劣化が進んでいましたが、気にならなかったそうです。「クラシックカーやヴィンテージ家具も、きちんと手を掛けることで美しくよみがえることを知っていましたから」
近年の物件には見られない、ゆったりとしたレイアウトの低層マンション。敷地内にある小川の流れる小さな森は、四季折々の色を見せます。本物は古くなっても色褪せないことをよく知るIさん。「ここに住みたい」と、買付けを入れました。
現代のライフスタイルに合った伸びやかな間取りに
広さは充分だったものの、ヴィンテージマンション特有の、細かく区切られた間取りと複雑な動線。そこで現代のライフスタイルに合うように間取りを見直し、伸びやかで過ごしやすい空間を実現しています。
リビング・ダイニングに隣接していたWICを移動し、長方形の大きな空間に拡大。「天井が低い」「撤去できない壁がある」という構造上の制約を感じさせないよう、プランニングを工夫しています。
ミッドセンチュリーの似合うモダンな住まい
リノベーションのテーマは、Iさんのご希望により「ミッドセンチュリーを現代風に」。表情豊かな木や石を使用し、ハンス・J・ウェグナー、ジャン・プルーヴェ、チャールズ & レイ・イームズ、アルネ・ボッターといった名作家具が馴染む、趣ある空間に生まれ変わりました。
リビング・ダイニングの壁には、長い時を経て風化したような石を貼りました。表情豊かな石壁をバックに、SX-70のポラロイドカメラやポルシェのダイキャストカーなどのコレクションたちが際立ちます。夜には、壁側に寄せたダウンライトで照らし出され、昼間とは異なる雰囲気を楽しむことができるように。
伸びやかにつながる美しい玄関
エントランス〜廊下〜リビング・ダイニングを一直線につなげ、間口を拡大しました。味わい深い石壁が、住まいの奥へと視線を誘導するようにまっすぐに連続。その先には、バルコニー越しの豊かな緑を臨むことができます。
「美しいものを見ると、心地よさを感じます」というIさん。リビングには、ウェグナーの一人掛けソファとドイツのヴィンテージポスターをシンメトリーに配置して、整然とした美しさを演出。ラウンジのようにくつろげる空間です。
キッチンはお持ちの家具と色味を揃え、CUCINAでオーダー。背面収納の壁にはダイニングと同じ石を貼りました。独立キッチンですが、入り口から見える素材をリビング・ダイニングと統一することで、空間の連続性を感じられます。
深い眠りと爽やかな目覚めの寝室
寝室は、廊下を取り込むことで拡大しています。ベッドヘッド側の壁には、トラバーチン(大理石)を貼りました。間接照明が美しい石目を照らし、深い眠りを誘うように。
快適に目覚められるように、床には爽やかなベージュ系のタイルを採用。ハンス J.ウェグナーのベッドが馴染よう、床はダークなフローリングを張りました。
寝室の奥に設けた書斎は、作業に没頭できる独立した空間です。床はダークグレーのカーペット、壁と天井はグレーに塗装。エアコンはルーバーのなかに納めました。作業の集中力を高めるために色味を抑え、余計なものは視界に入らないように工夫しています。